新ブランド「極寒ぶり™︎ 選熟」の開発で、地域経済の活性化と持続可能な漁業を目指します
「地域に根を張り、日本を興す。」をコンセプトに地方創生に取り組む株式会社イミュー(本社:東京都品川区、代表:黒田康平、以下「当社」)は、北海道・白糠町が進める漁業のDX化の一環として白糠漁業協同組合と協働で、日本初となる*1天然ブリの「鮮度保持水槽施設」を設立し、白糠町のブランドブリ「極寒ぶり™︎」の更なる価値向上に向けた実証実験を開始しました。
*1. 株式会社イミュー調べ
株式会社イミュー代表 黒田 康平、木村漁業部代表 木村 太朗 氏、イチヤマニ雲津漁業部代表 雲津 勇人 氏
現在、日本の漁業は温暖化など環境の変化に伴う魚種変更や漁業従事者の高齢化と後継者不足といった様々な課題を抱えています。北海道・白糠町における漁業もその例に漏れません。収益の柱であったサケの漁獲量が減少する中、豊漁となったブリを新たな町の水産資源として活用するため、「極寒ぶり™︎」の名でブランド化し、産業化に取り組んできました。今回、取り組みの一環として、当社は白糠漁港に隣接する競り場跡地に、日本初の天然ブリの「鮮度保持水槽施設」を設立しました。
本施設では、白糠沖の定置網漁で水揚げされるブリを水槽で数日間安静に飼育します。株式会社リバーサーが提供する「低活性活かし込み技術™」を応用し、ブリを低活性化することで、魚体にかかるストレスを軽減します。また、餌を与えずに胃を空にしてから締めることで、胃の内容物の腐敗による酸化を防ぎ、鮮度の長期保持が可能となり、生のままでも1週間ほど鮮度が保たれます。
本実証では、熟成による旨味の増加も目指しており、開発を進めているのが新ブランド「極寒ぶり™︎ 選熟」です。主に国内外のシェフやレストランに向けての販売を想定し、魚体を締めるタイミングとその方法をコントロールすることで、鮮度と熟度のバランスを調理者が選べるようになります。調理者にとって“最高品質で美味しいブリ”の提供を目指します。
日本初の天然ブリ「鮮度保持水槽施設」
9月初旬から11月にかけて白糠沖の定置網漁で水揚げされるブリを、水槽(生けす)で数日間、安静に飼育します。株式会社リバーサーより技術提供を受けた「低活性活かし込み技術™」を応用し、ブリを低活性化することで、魚体にかかるストレスが軽減されます。養殖とは異なり餌は与えないため、飼育中に胃の中がキレイに空になります。その後、活締め・血抜き・神経締めを行います。漁獲後にこれだけの時間と手間をかけることで、鮮度の長期保持が可能となり、生のままでも1週間ほど鮮度が保たれます。また、身の美味しさや透明感が増します。魚体を締めるタイミングとその方法をコントロールすることで、最高の鮮度と風味を実現し、世界に誇る高品質で美味しいブリの提供を目指します。
このような活性コントロール下での天然ブリの高鮮度化は日本で初めての試みとなります。時化(シケ)で漁に出られない日の漁師の仕事の創出にもつながり、漁業全体の活性化も期待できます。「極寒ぶり™︎ 選熟」は、国内外のシェフやレストランに向けて販売を目指します。
施設概要
正式名称:株式会社シラリカ 鮮度保持水槽施設
住 所:北海道白糠郡白糠町岬1丁目2番地42
敷地面積:161.47㎡
水槽台数:4槽
構 造:木造1階建て
稼働開始:2024年9月
厄介者から白糠町のブランドとなった「極寒ぶり™」
白糠町では、サケの漁獲量が減少する一方でブリの漁獲量が急増しているものの、ブリは地元で食べる習慣がなく、地元漁師からはサケの代わりにならない厄介者と見なされていました。2022年時点で白糠町産ブリのキロ単価は263円と低く、他県の高級ブリがkg単価4,000円以上で取引される中、その差を埋めるために白糠漁業協同組合と連携してブリのブランド化と産業化に取り組むこととなりました。
試験的に首都圏の料理人に白糠産のブリを提供したところ、処理方法に改善の余地はあるものの、魚体そのものは非常に質が高いとの評価を得たため、品質向上によって単価を上げられると確信し、「極寒ぶり™」を誕生させました。北海道の厳しい海で育った脂のりの良いブリを地域ブランドとして展開し、地域経済の活性化を目指し、主にふるさと納税の返礼品として展開しています。
「極寒ぶり™」名称使用ルール
・北海道白糠漁協で水揚げされること
・船上活〆(放血)で1匹ずつ処理されていること
・魚体が7kgを超えること
これまでの歩み
2022年10月 テストマーケティング 急増した白糠漁協で水揚げされた天然ブリの切り身で「漬け」を開発。ふるさと納税の返礼品として200セット出品し、わずか6日間で完売。 |
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2023年9月 本格生産・水産加工場 設立 約1億円の建設費をかけ、白糠町に水産加工場を設立。 しゃぶしゃぶなど「極寒ぶり™︎」の加工品1,500食が約2ヵ月半で完売。 |
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2024年8月 鮮度保持水槽施設 設立 魚体自体の価値向上のため、本施設を設立。2024年9月より実証実験を開始。「極寒ぶり™︎ 選熟」の開発が進行中。 |
「極寒ぶり™ 選熟」名称使用ルール
・北海道白糠漁業協同組合で水揚げされること
・魚体が7キログラムを超えること
・鮮度保持水槽施設にて低活性処理後に活〆・神経締めされること
コメント
白糠町 町長|棚野 孝夫 | |
白糠町の自然や気候風土など豊かな地域資源は、まちの宝であり、まちの力の源です。基幹産業である農業・漁業・林産業などの1次産業をしっかりと支え、持続可能な形で発展させていくことが、将来に向けた「まちづくり」においてとても重要であると認識しています。少子高齢化や人口減少といった喫緊の課題に対応するため、子育て・教育・定住支援など各種施策を展開していますが、生産者の所得向上も欠かせないポイントです。環境の変化にフレキシブルに対応しながら、大切な水産資源を守り育て、漁業に新たな展開を創出するこの取組みは、まちの将来に必ずつながっていくものと考えており、官民一体となって推進してまいります。 | |
白糠漁業協同組合 組合長|山田 明 | |
持続可能な漁業に向けて、海の環境保全や資源管理に力を入れています。また、地場水産物の付加価値向上については、町と連携を深め今後注力していく方針です。イミューさんとはこれまでも「極寒ぶり™」のブランディングなど、高付加価値漁業に向け共に取り組んできました。今回の新たな施設は、地場水産物の価値を更に向上させ、漁師の所得向上にもつながる取組みであると期待しています。全国に先駆けて初の挑戦となる取組みですが、持続可能な漁業へ向けて、力を合わせて推進したいと考えています。 | |
有限会社木村漁業部|木村 太朗 | |
白糠で獲れる魚の価値を高めるため、数々のチャレンジを行ってきました。15年ほど前から、当時はまだ珍しかった「活締め」を行い、更には「神経抜き」という技を磨きました。日本全体で漁獲量が減少するなか、水産資源を保護し、持続可能な漁業を目指すためには、とれる量が減っても、一匹一匹の価値を高めていく必要があると考えています。今回の新たな取組みでは、ブランディングしてきた白糠産「極寒ぶり™」の更なる価値向上が可能です。舌の肥えた人をもうならせるような、高品質で高鮮度な美味しいブリを、ここ白糠から発信したいと考えています。 | |
株式会社イミュー 代表取締役|黒田 康平 | |
現在、白糠町の漁業が抱えている課題は数多くあります。漁場環境の変化に伴う魚種の変更や、漁業従事者の高齢化などは、日本全国の漁業で共通している課題です。当社は、秋鮭が不漁となり代わりに豊漁となった白糠町のブリを新たな水産資源として確立するため、漁師さんや漁協、町役場と協力し、「極寒ぶり™」としてブランド化、2023年には白糠の地に加工工場を建設しました。この度、新たに導入するこの「鮮度保持水槽施設」により、「極寒ぶり™」の更なる価値向上を図ります。将来的には他の魚種にも展開する予定で、白糠町で始めるこの取組みが、日本の漁業の未来を明るくする大きな可能性を持っていると考えています。 |
当日の様子
2024年9月18日に開催された内覧会では、関係者や報道陣が参加し、白糠町が推進する「高付加価値漁業」や「鮮度保持水槽施設」での実証実験に関する説明をしました。参加者からは 「極寒ぶり™︎ 選熟」の試食を通して地域漁業へのポジティブな影響に関する感想が寄せられ、今後の展開に注目いただきました。当社は、引き続き実証実験を進め、さらなる技術の向上を図りながら、国内外への市場展開を目指していきます。
本件に関する問い合わせ先
株式会社イミュー PR担当:森口・村越
MAIL: pr@immue.co.jp